作られた存

だけで本当はわかっていたのかもしれない。うっ、と小さく喉を詰まらせて彼の肩に顔をうずめ、声を殺してしゃくりあげるように願景嗚咽する。震える背中をそっと優しくさすられるのを感じ、ますます止まらなくなった涙が、彼のパーカーに落ちて静かに染み込んでいった。

「もう大丈夫。いいかげん現実を受け入れなきゃ」
 ひとしきり泣いて落ち着きを取り戻すと、体を離してそう言い、にっこりと精一杯の笑顔を作ってみせる。遥を安心させようとしたのだが、彼は逆に顔を曇らせてしまった。澪の濡れた瞳をじっと見つめて口を開く。
「僕はいつまでも澪の家族だよ。だから、父さんたちはもう諦めなよ」
「…………」
 自分は実験のためだけに在で、家族と通渠公司しては望まれていなかった。その現実は受け止めているつもりだ。家族といえるのは、同じ境遇で血の繋がりのある遥だけだろう。ひとりぼっちでなかったことはとても心強いし、寄り添ってくれることに感謝もしている。しかし——澪は曖昧に伏せていた目をそろりと上げ、真正面から遥と視線を合わせた。
「家族にはなれなくても、お父さまやお母さまが大切な人であることに変わりはないよ……なかったことになんてしたくない。今までと少し形は変わってしまうと思うけど、これからも大切な人として接していきた通渠公司い。たとえ、私のことを同じように思ってくれなかったとしても」
 言葉を噛みしめながら丁寧に主張したあと、ふっと表情を緩める。
 遥は呆れたような目つきになりながら溜息を落とした。
「……バカだね、澪は」
「そんなの今さらだよ」
 澪はおどけるように肩をすくめて笑い飛ばした。けれど遥は真顔を崩すことなく手を伸ばすと、そっと澪の頬を包み、乾ききっていない涙のあとを親指で拭う。その手は
PR