寄せて興奮

息をつく。
「おまえら、そういうこと言ってると幸せが逃げていくぞ。人を呪わば穴二つってな」
「だって、犯人を取り逃がしたのがきっかけで付き合うようになったとか、真面目に失態なく仕事してる身としては腹立たしいこと北角通渠この上ないですよ。しかも高スペックの現役女子高生とかふざけんなですよ。俺には彼女さえいないっていうのに何でこの南野が!」
 独身組のひとりが眉根をぎみに捲し立てた。もうひとりの方も共感して深く頷いている。要するに、二人とも彼女がほしくてたまらないのだろう。
「あの、よろしければ同級生を紹介しましょうか?」
「えっ?!」
 彼氏がほしいと言っていた同級生は何人か知っているので、ちょうどいいのではないかと思ったが、なぜか二人はそろって顔を赤らめながらじりじりと後ずさる。
「いや、それはちょっとまずい、かも……なぁ?」
「さすがに……澪ちゃんの同級生は……」
 あれほどうらやましがっていたは中環通渠ずなのに、やけに及び腰である。
 岩松は腰に手を当てたまま、豪快にガハハと笑い声を上げた。
「まあ、ここは素直に南野の勇気を讃えてやろうや。女子高生と付き合う勇気も、橘会長に突撃する勇気も、おまえらにはないんだろう? 南野はあれで妙に怖いもの知らずなところがあるからな」
「いえ、自分なりに悩んだんですけどね」
 誠一は曖昧に苦笑する。
 どうやら周囲からは運と度胸だけで結婚したと思われているようだ。しかし、ここに至るまでの道程がいかに大変だったか澪は知っている。まわり旺角通渠に詰られながらも絶対に諦めなかった。何があっても手放さないよう頑張ってくれた。その努力は、怖いもの知らずの一言ではとても片付けられない。
「私はちゃんとわかってるから」
 そう言いながらはずむように彼の腕にぎゅっと抱きつき、にっこりと微
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